はじめに

こんにちは!18歳のマイマイです。
皆さんは、思春期にどんな思い出がありますか?
今でも顔を覆いたくなるようなほろ苦い経験、もう一度あの頃に戻りたくなるような青春。
人それぞれですが、思春期はとても多感で、そして繊細な時期ですよね。
今回は、そんな思春期をテーマにした小説『カラフル』(著者 森 絵都)を紹介します。
思春期を生きる中高生にはもちろん、かつてその時期を過ごした大人が読んでも心に響く作品です。
気になった方は、ぜひ最後まで読んでいってください。
あらすじ
「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
死んだはずの魂「ぼく」に、天使「プラプラ」は唐突にそう告げた。
プラプラの話によると、「ぼく」は生前に大きなあやまちを犯した罪深い魂であり、本来なら輪廻の輪から外れるはずだったという。
ところが、特別な抽選に当たり、再挑戦のチャンスを得たのだ。
その再挑戦とは、自ら命を絶った少年の身体に乗り移り、彼として生活する「ホームステイ」。
そこでの目標は自分が生前に犯したあやまちを思い出し、自覚すること。
こうして「ぼく」は、服薬自殺を図った中学生・小林真の身体へと入り、新たな人生を歩み始める。
不倫した母、他人の不幸を喜ぶ父、いつも嫌味を言う兄、援助交際をする初恋の人。
色褪せたモノクロのような小林真の世界で、「ぼく」は失われたはずの“色彩”を取り戻していく。
『カラフル』の基本情報
著者
森絵都(もり えと)さんです。
森絵都さんは日本の小説家で、児童文学から一般文芸まで幅広く活躍し、世代を超えて多くの読者に愛されています。
デビュー作『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞。
その後も『カラフル』『つきのふね』『DIVE!!』など、思春期の繊細な心を描いた作品を次々と発表しました。
2006年には『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞を受賞し、幅広い層にその名を知られるようになります。
発行日、発行元、受賞歴
初版は1998年7月、理論社から刊行。
発行元は文春文庫、フォア文庫。
受賞歴は、第46回 産経児童出版文化賞受賞。
おすすめポイント
テーマがいい
小説でもっとも大事なもののひとつが「テーマ」だと思います。
この作品では「思春期」が大きなテーマですが、私はもうひとつ、隠れたテーマがあると感じました。
それは「人の長所と短所」です。
私たちはつい、人を白黒で判断してしまいがちですよね。
「あの人はいい人」「この人は悪い人」と、極端に分けてしまうことも多いと思います。
でも、本当は誰の中にも、いいところと悪いところの両方がある。
白黒だけで見ようとすると、世界から色が消えてしまう。
人にはそれぞれの“色”があって、その色が混ざり合っているからこそ、この世界は美しい。
『カラフル』は、そんなメッセージを静かに伝えてくれる作品だと感じました。
心理描写が豊かで、ダイレクトに気持ちが伝わる
この小説の大きな魅力のひとつは、登場人物の心の動きがとても細かく描かれているところです。
特に主人公「ぼく」の視点を通して描かれる感情は、まるで自分の中にあるもやもやした気持ちをそのまま言葉にされたようで、読んでいて胸に響きます。
誰かを嫌いになったり、家族に苛立ったり、どうしても素直になれなかったり。
そうした思春期特有の複雑な感情がリアルに伝わってくるので、「ああ、わかる」と共感してしまう場面がたくさんあります。
また、ただ悲しみや怒りを描くだけでなく、その奥にある“優しさ”や“迷い”まで感じ取れるのがこの作品のすごいところ。
登場人物が魅力的
この小説、登場するすべての人物が本当に魅力的なんです!
主人公の「ぼく」。
不倫をしてしまった母、他人の不幸をどこかで喜んでしまう父、毎日嫌味を言ってくる兄、そして援助交際をしている初恋の人。
さらに、そんな彼にズケズケと踏み込んでくるクラスメイトまで。
それぞれが抱えるかっこ悪さ、弱さ、したたかさ、そして、ほんの少しのかっこよさ。
そのどれもが丁寧に描かれていて、読んでいると「人間ってこうだよな」と思わずうなずいてしまいます。
どの登場人物も完璧ではないけれど、だからこそ人間らしくて、読むほどに心が近づいていくような気がします。
まとめ
いかがでしたか?
森絵都さんの『カラフル』は、思春期の葛藤や痛み、そして小さな希望を丁寧に描いた作品です。
人の心の複雑さや、誰もが抱える弱さにそっと寄り添ってくれるような物語で、読み終わったあとには、世界の見え方が少し変わるような感覚を覚えます。
あなたの世界は色あせていませんか?
この小説を読み終わるころにはきっと、世界がもっと鮮やかに見えているはずです。
少しでも気になった方は、ぜひ手に取って読んでみてください。

私の読書人生で3本指に入る名作だよ!
コメント